「100万人の金色のコルダ」で現在開催中のメガネイベント・金澤1・2のネタバレ含む。
生徒の下校時刻が過ぎた、18時17分。
吉羅が音楽準備室の扉をノックすると、金澤の返事がかえってきた。
入室すると、金澤はパソコンに向かって作業している。
その横顔に見慣れないものが載っていて、吉羅は思わず訝しげな声をあげた。
「どうしたんですか、それ」
「ん?」
「目は悪くなかったはずですよね?」
吉羅らしくもなく要点をまとめきれなかった発言も、補足をすればすぐに何を指しているのかわかったようだ。
金澤は吉羅のほうを向き、眼鏡をくいと上げた。
「これか? パソコン用のメガネだよ。ブルーライトカットなんたらだったか? 度は入ってない。火原や日野にすすめられてな。試してみたら、これが意外といいんだ」
「ああ、それなら聞いたことがあります。しかし、金澤さんが眼鏡をかけるとは思わなかったので、驚きました」
「お前さんまでそんなこと言うのか」
吉羅は、肩を落とした金澤に向ける視線に視線に疑問を含ませる。
「メガネをかけるって知った天羽が、写真を撮りたいってくいついてきてな。ま、結局、隙をつかれて撮られちまったんだが」
「まあ、珍しい光景を撮影したいというのはわからないでもないですが」
吉羅が頷いてみせると、金澤はレンズの奥の瞳を丸くした。
しかし、すぐににやりとした笑みを浮かべる。
「なら、お前さんもかけてみるか? 俺にもレアな光景を拝ませてくれよ」
「遠慮します。そんなもの見てどうするんですか」
「珍しさはともかく、機能はいいぞ。短時間でわかるかわからんが、試してみたらどうだ? それに――」
意味ありげに言葉を切った金澤に、吉羅が問い返す。
「それに?」
「生徒にかっこいいって評判になるかもしれんぞ」
吉羅の眉根がぐぐっと寄り、そんなもの、と言おうとしたところで、金澤の言葉が続けられる。
「実際、俺も日野に言われたしな」
「――日野君に?」
「ああ」
思い出し笑いなのか、金澤のにやにやが増した顔には相変わらず眼鏡がのっている。
それを見ながら、吉羅はパソコン用眼鏡のことをもっと調べてみようか、とうっすら考えた。
後書
マスク吉羅さんもいいけど、普通のメガネ吉羅さんも見たかった…!
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