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冴雫
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早速書きました。
7月にやった診断メーカー…。

>40分以内に1RTされたら、ベッドの上で、苦笑しながら指を絡める吉日をかきましょう。 #odainano http://shindanmaker.com/68894

短いです。






 ぱらぱらと雨の降る音が響いている。
 扉を開けた途端、湿気を含みどろりとした暗闇が吉羅の身に纏わり付いた。
 どこかの底にいるような奇妙な静寂と閉塞感のある空間。
 そこに、泳ぐように白い腕が伸ばされた。
 腕はすぐに力を失い、軽い音を立ててシーツの海に沈む。
 なにかを探すようにシーツを撫で摩る動きをしたかと思うと、睫毛が震えて眠りの覆いが被さった瞳が細く覗いた。
 明かりなどないのに眩しそうな仕種で、今にも瞼が落ちそうだ。
 それでも僅かに頭を上げ、ぼやけているであろう狭い視界に吉羅を捕らえると、また腕を動かした。
 眠気が勝っているのか、ぴくりと動いただけの指先はしかし、縋るようなかたちになっていて庇護欲をくすぐるものだった。
 吉羅が自らの指先をしっかり絡ませてやると、弱々しい力ながらも握り返された。
 安心したように微笑んだ香穂子の唇から吐息が漏れる。

「…ありがと…ございます……ぶぎょー……」

 手を組んだまま、そっと彼女の隣に滑り込もうとしていた吉羅は、ぴたりとその動きを止めた。
 まだ伏せていない上半身を屈め、香穂子の顔を覗き込む。
 既に意識は現にはないようで目はしっかりと閉じられており、対象にもぞもぞ動く口はけれど意味なす言葉は発しなかった。
 どんな夢を見ているのやら、と吉羅はふっと笑み含んだ空気を零し、止めた動きを再開させた。
 衣擦れの音も微かに空いているスペースに寝転ぶと、繋いだ手はそのまま二人の間に横たえ、もう片手で香穂子の身を引き寄せ、抱く。
 斜め下に見える額に口づけて、吉羅はそっと目を閉じる。
 ぱらぱらと落ちる雨音に、二人分の寝息が重なるのはすぐだった。



 部屋に柔らかな光がたゆたう。
 うっすらと目を開いた吉羅は、最初に腕に抱いたぬくもりに意識を向けた。
 気持ち良さそうな寝顔にかかった髪をよけ、そのまま撫でつける。
 ずっとこうしているわけにもいかないと、そっとベッドを抜け出そうとした吉羅の手がくいと引かれた。
 見れば、上着の裾を掴む香穂子の手。
 絡めた指は寝ている間に解けてしまったが、指は新たな縋り先を見つけたらしい。
 吉羅は指を外そうと手を伸ばしたものの、触れてしまえば離しがたい。
 ベッドに腰掛け、改めて指を絡める。
 さて、この眠り姫はいつ目覚めるのだろうか。
 いっそ口づけを贈るべきかと、吉羅は唇を愉しそうに歪めた。





後書

香穂子が見ている夢は「3Bガ斬ル!」。
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