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冴雫
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またもや診断メーカー。

30分以内に6RTされたら、家の中で、唇をとがらせる相手に手を繋ごうとする吉日をかきましょう。 #odainano http://shindanmaker.com/68894

これはもう見た瞬間に可愛いと思いまして!
RT数とか関係ないよね…!と今回も勢いで書きました。

相手の自宅デートで自然体とか可愛いですよね。



SSSは折りたたみに収納。






 部屋に響くのは微かな呼吸音と、空調設備の音。
 時折本のページを繰る音や身じろぎした時の衣擦れの音も響くが、静かなものだ。
 しかし、その静寂は唐突に破られた。
 リモコンから指令を送られたテレビが、バラエティ番組出演者のやり取りを流し始めたのだ。
 指令はさらに継続する。
 チャンネルが次々と変えられ、音量が大きくなる。

 吉羅は文字を辿っていた視線を、ソファの前に敷いたラグに腰を下ろしている人物に向けた。
 リモコンを突き出した手の先に向けた眼差しは、テレビ観賞をしているようには到底見えない。
 もう片手ではクッションをきつく抱き潰ている。
 何よりもあからさまなのがその唇。
 拗ねています、と主張するように中央が尖っている。

 理由は考えるまでもなく思い当たった。
 吉羅が本に熱中し、香穂子に全く構わなかったからだ。
 既に数年共にいる二人の間では、沈黙も心地好いものだ。
 同じ時を過ごしていてもそれぞれが好きなことをし、傍らに相手ね存在を感じることで満足する。
 気を張らずリラックスして過ごすことができる、吉羅にとって大切な時間だ。

 それは香穂子も同様だと以前口にしていたのだが、今日ばかりは甘えたい気分だったらしい。
 香穂子が床でごろごろしているのをいいことに、読書に熱中して香穂子から発されるサインを見逃していたようだ。
 そっと身を寄せてきたり、さりげなさを装って触れてきたり、何かをねだるような視線を送ってきたりとわかりやすい仕種。
 それがいつもならば香穂子からの構って欲しいという合図なのだ。
 改めて見ると、読書の途中で顔を上げた時よりも、吉羅に近い位置に寄ってきている。

 さて、このご機嫌ななめになってしまった恋人をどうしようか。
 考えながら本に栞を挟み、閉じた冊子をローテーブルに置く。
 隣のすっかり冷めたカップを取る代わりに、丸い頭のてっぺんを掌で包むようにする。
 髪を梳くように撫で、機嫌が僅かなりと上昇してきたのをはかると、香穂子の視界に入るように手を差し出した。
 重ねられたら、引き上げて隣に座らせる。
 無視されたら、自分がラグに下りて手を無理矢理掴んでしまおう。
 どちらにしても、寂しい思いをさせてしまった分の埋め合わせはたっぷりと。
 もう充分だと顔中真っ赤に染めるくらい甘やかしてやろうと、唇の片端を引き上げながら決意して。
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