忍者ブログ
Admin*Write*Comment
冴雫
[326]  [325]  [324]  [323]  [322]  [321]  [320]  [319]  [318]  [317]  [316
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

吉日の甘いのが書きたかったので、前に診断メーカーで出たお題を書いてみました。



>吉日へのお題は『「無理矢理、手のひらを触れ合わせる」キーワードは「約束」』です。 http://t.co/WoqVfSJ7

>吉羅に手を挙げてもらって、香穂子が無理矢理手を合わせてハイタッチして、「これでコンクール頑張ります!」みたいな決意表明シーンしか浮かばなかった。…甘くない。

>吉羅さんが無理矢理手を合わせるって、なかなかシチュが浮かびませんよね…。 恋人状態なら、ハイタッチから指先絡め取って…は出来そうですが。






 コンクールを翌日に控えた帰り道。
 吉羅の車で自宅近くまで送り、別れる間際。
 香穂子が突然、妙なことを言い出した。

「……暁彦さん、ちょっと手を挙げてくれませんか?」

 シートベルトを外し、車を降りるかと思った香穂子は上半身を運転席に向け、吉羅をじっと見つめた。

「なにかあるのかね?」
「いいから出してください!」

 このままでは答えは得られないと判断し、吉羅は怪訝な顔をしながらも香穂子の言葉に従って右手を挙げた。
 すると香穂子も手を挙げ、吉羅の手に合わせてきた。
 そして、目を閉じて何かを真剣に念じているような様子を見せる。

「……この行動に、何か意味があるのかね?」

 吉羅が問うと、香穂子は瞼を上げた。
 頬を赤く染めながら、視線をうろつかせる。

「えっと、明日のコンクールのために元気を貰うというか、やる気が出そうな気がして……」

 言いながら、合わせたままだった手を慌てて引っ込めようとする。
 吉羅は、逃げようとした指先を捕らえた。

「――では、もっとやる気を出させてあげよう」

 捕らえた指先を自らの口元へと運び、そっと口づける。

「――君に、音楽の祝福を」

 ぼん、と音が出そうな勢いで香穂子は赤さを増した。
 手を勢いよく振り払い、胸元に引き戻す。
 紅潮した眦で、吉羅を強く睨みつけた。

「祝福もいただけたことですし、失礼します!」

 助手席のドアを勢いのままに開けるが、閉める時はそっと静かにしている。
 そんな律儀さに吉羅は唇の端をくっと上げた。

「明日が楽しみだ」

 そうひとりごち、吉羅は車のエンジンをかけた。
PR
  • ABOUT
更新履歴ブログ「冴雫」。たまに小話か萌え語りカテゴリでSSS投下。
  • ブログ内検索
  • アーカイブ
Copyright © 冴雫 All Rights Reserved.*Powered by NinjaBlog
Graphics By R-C free web graphics*material by 工房たま素材館*Template by Kaie
忍者ブログ [PR]