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冴雫
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twitterでつぶやいたのを書いてみた。

>望美が顔真っ赤にして何か言おうとしたら銀が人差し指を望美の唇にすっと当てて、微笑みながらその言葉を先取りしてる図が浮かんで萌えた。「その台詞は、私に言わせてください」とか。

>望美にちょっとしたこととかを尋ねられて、銀が自分の唇に人差し指当てて微笑みながら「秘密です」とか言うのもいいよね。それがイベントのサプライズに関することだったらなおいい。

書いたのは上のほう。
どっちも定番ネタだけど、だからこそというか萌える!






 シンプルに整えられた、銀の部屋のリビング。
 テレビ画面には、ラブロマンス映画のエンディングのテロップが流れている。
 望美はソファーに座り、微かに潤んだ瞳でじっと画面を見つめたままクッションを抱きしめていた。
 その隣に腰かける銀は、流れる文字を追いながらも、望美の様子をさりげなく窺う。

 映像が終わり、銀は再生機からディスクを取り出そうと腰を上げようとする。
 しかし、それを引き止めるように、望美が銀の服を軽く引いた。

「神子様?」
「銀、あの……っ!」

 意気込んでいることがわかる、前屈みの体勢と強い語調。
 それに、銀は穏やかに応える。

「はい。いかがなさいましたか?」

 銀は緩く首を傾げ、居住まいを正した。
 望美は片腕で抱えっぱなしだったクッションを、両腕で一層強く抱え込んだ。
 そして、視線をうろつかせながら唇を開く。

「あ……の、私はっ! 銀のこと、あっ、あ、あいっ……!」

 頬を紅潮させてどもる望美の唇に、銀の人差し指が触れた。
 言葉を封じられた望美の瞳は、戸惑いと不安で揺れている。
 銀は望美を安心させるように微笑んだ。

「私に言わせてください」

 望美は、ぱちぱちと瞼を上下させた。
 丸くなった瞳を、銀は真摯に見つめる。

「――私は、あなたを愛しています」

 はっきりとした告白に、望美は耳朶まで真っ赤に染め上げた。

「……っ!」

 唇から指先を離すが、望美は言葉を失ったままで部屋の壁を見ている。
 銀は望美の頬に手を添え、優しい強さで顔を上げさせ、視線を合わせた。

「さきほどの映画を観て、想いを言葉にして伝えようとしてしてくださったのでしょう?」

 確信を持った問いに、望美は僅かな沈黙の後にこくりと頷いた。
 銀は指先で頬を撫でる。

「無理に言葉になさることはありません」

 銀が柔らかい眼差しで見つめるも、望美は顔を俯かせてしまう。
「でも……」

 その小さな頭に手を載せ、銀は髪を撫でつけるように動かした。

「言葉にせずとも、あなたが私を愛してくださっていると、知っていますから」

 望美は勢いよく顔を上げた。
 静かに微笑む銀を見て、強張っていた身体を弛緩させる。

「……いつも言ってもらってばかりだから、たまには私から……と思ったのに」

 望美は力のない拳を銀の胸にたたきつける。
 それを銀は目を細めて甘受し、望美の拳をそっと包み込んだ。

「今、神子様がその言葉を口にするのを聞いたら、私はきっと幸せで歯止めがきかなくなってしまいます」

 銀はもう片手で望美の持っていたクッションを奪い、脇に落とす。
 そのまま望美の背に手を回し、その身を抱きしめた。

「それに、想いを伝える手段は言葉だけではありませんよ?」

 赤く染まった耳朶に囁くと、望美の身が微かに震える。
 しばしもぞもぞと身じろぎした後、大きく息をつく。
 そして、銀の背へとその手を伸ばした。
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