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冴雫
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「バカ」シチュったー
http://shindanmaker.com/92783
『3RTされたら、「親友に」「部屋で」「微笑みながら」、「バカ」と言う吉羅暁彦を書(描)きます』

という結果が出て、萌えたので書いてみた。








「……それで?」

 理事長のデスクの向こうから、吉羅が冷たい視線を投げかけてくる。
 ソファーに肩身が狭そうに座っていた金澤は、ごまかすようにコーヒーをすすった。

「いや~、油断しちまってなあ」
「油断?」
「準備室に予備の傘が置いてあると思ってたんだよ」

 窓のガラスに、大きな雨粒が激しく叩きつけられる。
 雨の音に負けないようにと、金澤は少し声を大きくした。

「日野が傘忘れて困ってたんだよ。急いでたみたいだし、可愛い生徒をこの雨の中に傘なしでほうり出すわけにもいかんだろ?」
「しかし、学院にも傘くらいはあるんじゃないですか?」

 手元の書類を整理しながら、吉羅は眉間をしかめる。

「それが、あいにく全部貸し出し中でな。このままだと濡れ鼠だ」
「……まったく、馬鹿ですね。もう少ししっかり物事を考えてから行動したほうがいいんじゃないですか」

 疲れたように息をつかれるが、 吉羅が本気で呆れているのでないことは、微かに端が上がった薄い唇が示している。
 金澤も同じく笑みを浮かべながら、肩をすくめて首を振ってみせた。

「考えてるだろ。ただ、準備室に傘がなかったのが誤算なだけで」
「……まったく。仕方ありませんね。わかりました、家まで送りますよ」

 吉羅は荷物と書類を持って立ち上がる。

「お、本当か? 駅まで頼もうと思ってたんだが……。さすが、持つべきは優しい後輩だな」

 金澤も立ち上がり、吉羅のデスクにあったものと、自分の使っていたコーヒーカップを手に取った。

「こっちは片付けとく」
「お願いします。私は書類を提出してきますので、エントランスで待っていてください」
「了解」



 各々の役目を終えエントランスに着いたのは、金澤が先で吉羅が少し遅れたくらいだった。
 現れた吉羅は、傘を手にしていた。

「あれ? お前、傘持ってんのか?」
「当たり前でしょう。車に行くまでは歩きなんですから」
「そりゃそうか」

 疑問を口にすれば、至極当然の答えが帰ってくる。
 納得した金澤は吉羅の後について行く。
 出口に差し掛かると、吉羅は傘を開いた。
 柄を身から離して差し、片側を空ける。

「行きますよ」
「悪いな」
「なにを今更」

 金澤の謝罪に、吉羅は僅かに瞠目し、すぐに唇を湾曲に歪めた。




後書

前に書いた将+譲+望SSSに似てる…。
つい、相合い傘してる金やんと吉羅さんの図が浮かんじゃって…!
それにしても、雨シチュが結構多い気がするこのサイト。
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