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冴雫
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今度は金日ー!
短いけど。

無印の金澤私服で胸元にサングラス引っ掛けてるのが気になって。
あれをかけた金澤に、香穂子が驚いてたら可愛いなと思った。
サングラスかけると結構印象とか変わるよね。






「……金澤先生?」

 街を歩いている金澤に訝しげに声をかけたのは、よく音楽準備室に通ってくる生徒だった。

「お、日野か」

 声のほうに振り向くと、香穂子の目を丸くした顔があった。

「どうした?」

 問えば、香穂子は金澤の顔を無遠慮にじろじろと見ながら、かけてもいない眼鏡を直すような仕種をした。

「いえ、先生がサングラスをかけてるところを初めて見たので……」

 指摘され、そうだったかと記憶を思い返す。
 春先にはサングラスをアクセサリー感覚でジャケットのポケットに差していたが、香穂子の前でかけているのは初めてかもしれない。

「そういやそうか。あまりに太陽が眩しくてな」

 今日も、特に意図なく持ってきたのだが、日差しの強さに実用することにしたのだ。
 話しながらサングラスを外すと、視界が茶色のフィルターで覆われたものから、鮮やかでカラフルな雑多なものへと変化する。
 直接見た香穂子の顔は、どこかほっとしたような表情をしていた。

「サングラスかけてると、結構印象って変わりますね。見慣れなくて戸惑っちゃいました」

 金澤は軽く肩を竦めながら、サングラスを胸元にしまう。

「あれ、かけないんですか?」
「見慣れないんだろ?」
「えっ? ……あ、はい」

 香穂子はきょとりとした後、戸惑いながら頷いた。
 だからと言って別に外さなくても、といいたげな香穂子の視線はあえて無視をし、辺りを見回す。
 すると、飲料の自販機が目に入った。

「――ここで会ったのも何かの縁だ。用がないんだったら、ジュースくらいなら奢ってやるぞ」

 金澤の誘いに、香穂子はぱっと顔を輝かせた。

「ありがとうございます! ……ついでと言ってはなんですけど、演奏を聴いていってくれませんか?」
「お前さんもちゃっかりしてるな。暑いんだし、木陰を選べよ」
「はーい!」

 会話を交わしながら、二人は自販機へと向かう。
 金澤の胸元にかけられたサングラスが、日光を反射してきらりと光った。
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