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冴雫
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将臣と望美が片耳ずつイヤホンはめて、同じ音楽聴いてたら可愛いと思う。
自然体で!

と、ふいに思ったので書いてみた。






 将臣が校門を後にし、生徒の姿がまばらな駅までの道を歩いていると、見慣れた後ろ姿が目に入った。
 名前を呼んでみるが、ぴくりとも反応しない。
 怒らせた記憶もないし、と首を傾げながら足を早めて、華奢な肩に手をのせる。

「望美。今帰りか?」

 肩を叩かれたことに驚いたように振り向いた望美は、両耳にイヤホンをはめていた。
 将臣を見て、その片方を外す。

「将臣くん。何か言った?」
「今帰りかって聞いたんだよ」

 やはり聞こえていなかったか、と一人納得しながら、将臣は先ほどと同じ言葉を繰り返す。
 すると望美は、片手を顔の前にすっと立てて謝った。

「あー、ごめん。音楽聴くのに夢中で。私は今帰り。将臣くんも?」
「ああ。何聴いてたんだ?」
「昨日発売された曲。ほら、あのドラマの――」

 望美が口にしたのは、今期放送されているドラマの中でも特に話題になっているものだった。
 話ながら駅の改札口を通り抜け、がらんとしたホームの中央辺りまで行く。

「あれか。俺も気にはなってたけど、まだ買ってないんだよな」
「あ、聴く?」

 将臣がメロディーを思い出しながら言うと、望美が外したままのイヤホンを差し出した。
 それを受け取ってはめようとするが、身長差のせいでコードが引っ張られ、イヤホンが外れそうになってしまう。

「……ベンチに座ろうか」
「そうだな」

 望美の提案に頷き、近くにあったベンチに並んで腰掛ける。
 それだけで少し縮んだ距離をなお縮めるべく、二人して身を寄せ合い、顔を相手側に傾けた。
 望美が手元の機器を操作し、音量を大きくして曲を始めから流す。
 流れてきたメロディーは、テレビ越しに聴くよりも強く、将臣の耳に残った。
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