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冴雫
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twitterでコルダ&コルダ3キャラのマフラーについて妄想つぶやきしてて、

>吉羅さん・金やん・桐也あたりだったら、背中合わせで二人マフラーってのもいいな!

でちょっとシチュエーションが浮かんだのでSSS書いてみた。
矛盾とか尻切れトンボとか大丈夫な方は追記からどうぞ。







 吉羅は、自宅のリビングで一人用のソファーに深く腰を埋め、音楽を聴いていた。
 斜め前には恋人である香穂子もいるのだが、彼女は編み物に熱中している。
 足元に置かれた紙袋からは、香穂子の手元で編み途中のマフラーの完成部分が伸びていて、編み物がある程度の長さに達していることが察せられる。

 何も恋人の自宅に来て編み物をすることもないだろう、とは思わなかったわけではないが、香穂子の言葉を聞いて否定はできなかった。
 せっかく編み物をするなら、吉羅に贈りたい。どうせなら誕生日に。しかし、このままでは間に合わない。だが、吉羅とも一緒にいたい。
 それを叶えたのが、同空間でそれぞれが好きなことをするという今の状況だった。

 いつもは、同じ場所にいても吉羅のほうが仕事で香穂子に構えないことが多いのだし、たまにはこちらが待つ身になるのもいいだろう。
 編み物をしていても眉間にしわを寄せ、それを緩め、納得したように頷いて、ところころ変わる香穂子の表情は、盗み見ていて飽きない。

 そんなことを考えながら卓上のカップに手を伸ばし、コーヒーを口にした吉羅は、香穂子の視線の目標が変わったことに気づいた。
 手を止め、マフラーと吉羅を交互に見ている。

「どうかしたかね?」
「あの、合わせてみてもいいですか?」

 尋ねれば小首を傾げて問われ、吉羅は鷹揚に頷いた。
 すると香穂子はマフラーを持ち、いそいそと立ち上がった。
 紙袋には、そこから出ていたものの倍以上の長さの完成部分が収まっていたようで、マフラーの全長はかなり長い。

 密かに目を見張った吉羅には気づかず、香穂子は彼の背後に回るとマフラーをぐるぐると2周ほど巻き付けた。
 まだ飾りのついていない片端が、吉羅の胸に垂れかかる。
 もう一本は大分余っており、軽く体を捻って背後を窺った吉羅の目には、マフラーの余りが香穂子の腕の中でとぐろを巻いているのが見えた。

「……長すぎないかね」

 当然というべき吉羅の疑問を、香穂子は満面の笑みで否定した。

「大丈夫です! こっちは、こうやって……」

 言うなり、香穂子は吉羅に背を向けて座り込んだ。
 ソファーの背もたれを挟んで背中合わせとなった状態だ。
 その態勢のまま、香穂子は残りの部分を自らの首に巻き付け始める。
 吉羅と同じく2周、しかし垂れ下がった部分は足りずに首の横に飛び出した形となる。

「まだちょっと短いですね」

 うんうんと頷き、香穂子は背後を向いて、同じく香穂子のほうを振り返っていた吉羅と視線を合わせる。
 作り途中のマフラーに顔を埋めながら、照れたように笑う。

「二人で一つのマフラー、ってやってみたかったんです。さすがに外ではできないけど、家の中でならいいかなって」

 潤み、きらきらとした瞳に映った吉羅はそれに反対することができず。
 微かな嘆息だけをして受け入れた。
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