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>あ、金やんもいいな!在学中は互いに教師だから、生徒だから、って言えなくて、卒業・卒業後に言う勇気もなくて、気持ちを抱えたまま、たまたま一緒に飲んだら香穂子が酒の勢いで「実は好きだったんですよ~」とか冗談めかしてわざと過去形で言うけど、金やんが本気で告白返し、とか。
ってのの妄想をしてた、はず…。
なんだけどちょっとずれた。
まぁ、前フリイベントってことで。
今度また続き書きたい。
>あ、金やんもいいな!在学中は互いに教師だから、生徒だから、って言えなくて、卒業・卒業後に言う勇気もなくて、気持ちを抱えたまま、たまたま一緒に飲んだら香穂子が酒の勢いで「実は好きだったんですよ~」とか冗談めかしてわざと過去形で言うけど、金やんが本気で告白返し、とか。
ってのの妄想をしてた、はず…。
なんだけどちょっとずれた。
まぁ、前フリイベントってことで。
今度また続き書きたい。
すっかり暗くなった横浜の住宅街を、金澤と香穂子が歩いていた。
学院からの帰り道に遭遇した吉羅に連れられ、食事を終えた後、家路に着く香穂子を金澤が送っているのだ。
店からタクシーを使っていたのだが、住宅街の入り口で香穂子が「ここでいい」と車を止めてしまったのだ。
そのまま一人で降りようとした香穂子に続き、運転手に料金を渡した金澤が地に足をつけた。
驚く香穂子の目の前から、タクシーが走り去る。
「……タクシー行っちゃいましたよ?」
「女生徒を暗くなった住宅街にぽいと放り出せるわけがないだろ。俺がお前さんを連れ出したようなもんだしな。ほれ、行くぞ。お前さんの家はあっちのほうだったか?」
見当をつけた方角にすたすたと歩き始めた金澤の後を、香穂子は慌てて追った。
「あ、こっちのほうが……」
数十メートル行ったところで、香穂子は近道を見つけ、小さく声を上げた。
それに反応した金澤が、立ち止まって首を傾げ、香穂子を見下ろす。
その双眸がやけに柔らかい気がして、香穂子は思わず言葉を飲み込んだ。
「どうした?」
「……なんでもありません」
一緒にいる時間が短くなるのが残念な気がして、香穂子は近道のことを自分から言い出すのは止めることにした。
金澤の横に並び、足を進める。
静かな住宅街に二人の足音が響く。
沈黙を破ったのは、金澤。
「――今日は付き合わせちまって悪かったな」
「いえ! 楽しかったです。二十歳になったら、改めてあんなお店に行ってみたいな」
香穂子は首を振り、先程までいた店を思い浮かべた。
高校生である香穂子には幾分敷居の高い店だったが、だからこその憧れがある。
「成人したら、な」
「はーい」
基本的には、酒を飲む為の店だ。
金澤の注意に素直に頷いた香穂子は、向き直った視線の先に自宅を見つけた。
金澤と別れがたく、歩みが自然と遅くなる。
速度が落ちたことには気づいているだろうに、金澤は何も言わずに香穂子にペースを合わせてくれている。
「……成人したら、先生があの店に連れていってくれませんか?」
香穂子はふと浮かんだ願望を口にした。
「はぁ?」
「駄目、ですか?」
目を見張った金澤の口から零れ落ちた疑問符に、香穂子はしゅんと俯いた。
その頭に、大きな手が置かれる。
「……覚えてたらな」
確約ではないが、希望のある約束。
ごまかしのようにも聞こえる言葉だが、金澤はそこに本気を込めたし、香穂子もそれを感じとった。
途端に、香穂子の顔は明るくなる。
「はい! 私、絶対に忘れませんからね」
宣言を終えたのは、ちょうど香穂子の家の前。
「あ~、わかったわかった」
「返事は一回ですよ!」
「わかったよ」
金澤の返事を聞き、満足げに頷いた香穂子は、後ろを振り向き振り向き、家へと入って行った。
扉が閉じたのを確認すると、金澤は方向転換をして駅への道を歩き始める。
一人分しか響かない足音を聞きながら、金澤は自らの頭の中のスケジュールに、三年後の予定を書き込んだ。
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更新履歴ブログ「冴雫」。たまに小話か萌え語りカテゴリでSSS投下。
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