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冴雫
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拍手くださった方、ありがとうございます!



さて、LaLa感想。
今月号も「狼陛下の花嫁」よかった…!
妄想が広がって広がって。

いっそ、このMemoに狼陛下カテゴリ作ろうかな。
むしろ、作品もっと書いて、狼陛下も取り扱いにして、狼陛下でサーチ登録でもしようかな。
まぁ、しっかりした作品が書けたらですが。



ネタバレ含み感想と妄想とSSSは折りたたみから。






狼陛下は黎翔×夕鈴は当然デフォなんですが、夕鈴←方淵もいいなと…!
恋愛感情とかじゃなくて、ライバル心。
なんだけど、ふと「やはり夕鈴は女性なんだ」と実感して。
でも、女性として意識してしまうことに戸惑うとか。
もし恋心っぽいものが出かけても、「陛下の妃に、なにを……」とか自制かけまくりで、恋と気づかぬままに終了。

あー、だけどやっぱりライバル関係が燃える。

と言いつつ、SSSは夕鈴←方淵な感じ。
一発書きなので粗いです。
本誌の話、思いきりネタバレ。
むしろ、本誌読んでないとわからないと思います。





 その姿を見かけたのは、ほんの偶然。
 湯から上がったばかりらしい呑気な様子に、腹の虫がうずく。

 陛下はお忙しいというのに、妃のわがままでこのような遠方にわざわざ赴いている。
 王宮では排されている過剰な応対などは煩わしそうにされ、この地でもひたすら仕事をされている。
 妃は温泉に入ることが出来て満足かもしれないが、陛下はただ気苦労が増えているだけだ。

 陛下のことを考えているとは思えない妃の行動に、思わず口をついたのはいつもよりも更に棘を含んだ言葉。
 ……まあ、どうせ今回も言い返してくるのだろうが。
 と、言葉を続けるが、何故か反論がない。
 怪訝に思って妃に目を向けて見ると、その身体が傾いでいた。

 慌てて手を伸ばし、身体を支える。
 顔を見れば頬が紅潮し、腕に伝わる熱も幾分高い気がする。
 症状はそれくらいで、深刻な様子は感じられない。
 湯あたりでもしたかと判断し、妃を休ませる為に人を呼ぼうとする。

 しかし、近くに人がいない。
 そこで、疑問が浮かんだ。
 いくら気に食わないとはいえ、彼女が妃であることは事実だ。
 王宮では一人出歩く姿を見かけることはあるが、まだ慣れぬ離宮で供も連れずにふらふらするとはさすがに考えづらい。
 過ぎった憶測に思わず眉間に皺が寄るが、そんな場合ではないと軽く頭を振る。

 いた仕方なく、彼女を部屋へと運ぶことにする。
 が、彼女を支え直したところで動きを止める。
 どうやって運べばいいのだ。
 荷物を運ぶように肩に担ぐわけには、当然いかない。
 丁重に、と考えると背と膝の裏を腕で支えるしかない。
 その方法で妃の身体を持ち上げてみると、予想していたよりもすんなりと持ち上がった。

(…………軽い)

 妃……つまり女性なのだから、当然と言えば当然なのだが。
 自分に真正面から向き合い、嫌味にも負けずに言い返してくる様を見ており、女性だなんだということは意識しなくなってしまっていた。
 しかし、そんなことを考えている暇はないのだと我に返り、妃を抱いたまま部屋へと向かう。

 もう少しで寝室へ、というところで、あることにはっと気づいた。
 妃に、陛下が触れるように触れているのはまずいのではないか、と。

(いや、しかし……)

 迷いながらも足を進めていると、部屋に着く前に声をかけられた。

「……方淵?」

 聞き慣れたその声は、常よりも幾分低い気がする。

「…………何故、妃が?」

 気がする、どころではない。
 確実に低い。
 声のほうを向けば、突き刺さらんばかりの鋭い視線。
 ごくり、と密かに息を呑み、説明の為に上下が張り付いた唇をどうにか開く。

「湯あたりを、したようで。倒れてしまったのですが、供の者がおらず……」

 その言葉に反応し、陛下の瞳がすいと細まる。
 一歩一歩近づく距離に、無意識に身体が強張る。

「ほう?」

 目の前に立った陛下は、方淵の腕から妃の身を奪う。
 その身を抱いた時に、ふいに和らぐ双眸。
 普段は厳しい顔しか見せない、陛下のそんな表情を引き出すから、妃は気に食わないのだ。

 方淵の内心など気にかけず、妃を抱いた陛下は、寝室へ向かって踏み出す。
 思わず声をかければ、視線だけをこちらへ向けた。

「……妃を運んでくれたこと、礼を言おう。私は、もう部屋に行く。……お前は李順に報告をしろ。供の件について、な」
「はっ!」

 頭を下げる方淵には見向きもせず、陛下は方淵の前から立ち去る。
 緊張から解放された方淵は、自らの腕を見つめ――先程まで抱いていた妃の軽さを思い浮かべて、頭を大きく振った。
 李順の元へ行く為、踵を返した方淵の目は、寝室を掠めた。

 妃が、早く回復すればいい。
 方淵に立ち向かう根性だけは、認めているのだから。

 そんなことを考えながら歩みを進める方淵の足音は、些か荒く離宮に響いた。
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