まずは、拍手へのお礼を。
いつも拍手ありがとうございます!
お礼もないのに連打してくださる方までいらっしゃって、とても嬉しいです。
管理人は単純なので、一気にやる気がアップします。
さて、久しぶりに遙か3&十六夜記愛蔵版の弁慶さん後日談をやって書きたくなったのでSSS投下です。
何故萌え語りカテゴリかって言ったら、ゲームのイベントからの妄想だから。
ここから愛蔵版ネタバレ含むのでご注意。
長い間知人に貸してて、内容をすっかり忘れて後日談プレイしたらがっつり落とされました。
夏の熊野での看病で、湛快さんにやられたりしながら進めてたら、それが平泉での回想だったとかいうオチ……!
涙出そうになりました。
で、弁慶さんの思考もがっつり後ろ向きだったので、プラス方向なお話を書きたくなりまして。
てなわけで、後日談イベントを踏まえた十六夜ED後の話です。
書きたかったこと詰め込んだだけなので、脈絡があんまりないかも。
SSSは追記からです。
いつも拍手ありがとうございます!
お礼もないのに連打してくださる方までいらっしゃって、とても嬉しいです。
管理人は単純なので、一気にやる気がアップします。
さて、久しぶりに遙か3&十六夜記愛蔵版の弁慶さん後日談をやって書きたくなったのでSSS投下です。
何故萌え語りカテゴリかって言ったら、ゲームのイベントからの妄想だから。
ここから愛蔵版ネタバレ含むのでご注意。
長い間知人に貸してて、内容をすっかり忘れて後日談プレイしたらがっつり落とされました。
夏の熊野での看病で、湛快さんにやられたりしながら進めてたら、それが平泉での回想だったとかいうオチ……!
涙出そうになりました。
で、弁慶さんの思考もがっつり後ろ向きだったので、プラス方向なお話を書きたくなりまして。
てなわけで、後日談イベントを踏まえた十六夜ED後の話です。
書きたかったこと詰め込んだだけなので、脈絡があんまりないかも。
SSSは追記からです。
やけに重たい瞼をゆっくりと開けば、微かにぼやけた視界が無機質な天井をとらえる。
耳が捉えるのは、紙をめくる微かな音。
音のほうへと顔を向けようと首を動かすと、鈍い痛みが頭を襲う。
「あ、弁慶さん、起きたんですか?」
「……のぞみ、さん……?」
「はい」
自らの顔を覗き込む、心配そうな色をのせた彼女の顔を見ながら記憶を辿る。
ああ、そうだ。
久しぶりに、熱を出してしまったのだ。
昨日、体調があまりよくないのに、仕事を仕上げたいが為に夜更かしをして。
その甲斐あって目標は達成できたが、彼女とデートの約束をしていた今日になって無理をしたつけが回ってきた。
なんとか謝罪の連絡だけ入れて休んでいたところ、彼女が合い鍵を使って部屋に入っていて。
世話をやかれて、再び眠りについてしまったのだった。
首を捻って窓辺を見ると、周囲はすっかり闇に覆われているようだった。
闇、と言っても、京にいた頃とは比べものにならないほど明るいのだけれど。
「……いまは、なんじ、ですか?」
「6時ですよ。夜の」
「ろくじ……」
「はい。あ、喉渇いてませんか?」
掠れた声に眉根を寄せた彼女の問い掛けに、素直に頷く。
飲み物は既に用意してあり、彼女の肩を借りて身を起こし、喉を潤す。
起き上がっているだけの体力はまだなくて、弁慶は深い息を吐きながら再びその身をベッドに沈めた。
「ほかに欲しいもの、ありますか? 何かあったら言ってくださいね」
言いながら、望美は起きた拍子に弁慶の額から外れた、少し乾いてしまった布を手にとった。
脇においてある容器に張った水に浸し、絞る。
そうして再び額に載せられたタオルのひやりとした感触に、目を細めた。
「冷却シートを貼ろうかとも思ったんですけど、弁慶さんはあんまり好きじゃなさそうかなと思って」
肌と生地の間に挟まってしまった髪をよけながら、彼女が話しかけてくる。
その内容に、微かに頷いた。
便利なものだとは思うのだが、あまり好きではなかった。
それに、手間をかけてしまうが、彼女が手ずから絞ってくれたタオルには何にも代えがたい価値がある。
込められた心が、なによりも嬉しいのだ。
熱のせいで鈍った思考で、つらつらと考える。
その中でふと、蘇る記憶があった。
「……前にも、こんなことがありましたね」
「え?」
「あちらの、世界で……。熊野にいた時に、僕が熱を出してしまったことがあったでしょう?」
後白河法皇の女房に化けた怨霊の正体を暴露する為の、舟遊びの後。
体調が優れなかったのに、策の為に水遊びなどしてしまった弁慶は、翌日に熱を出してしまった。
「そういえば、ありましたね。弁慶さん、自分で『医者の不養生』なんて言って。お兄さんが氷を持ってきてくれたんですよね」
望美はその時のことを思い出し、笑みを零した。
この世界では簡単に手に入れられる氷。弁慶の横たわるベッドのサイドデスクにも、水の張られた容器に氷が浮かんでいる。
しかし、あちらの世界では簡単に入手できるものではなく、夏という悪条件であれば値が釣り上がるのは当然のこと、見つかるかどうか、というものだった。
町で偶然出会った弁慶の兄が、どうにか用意してくれたのだが、あれはきっと前熊野別当だったからできたことなのだろう。
「ええ。ありがたかったです。……皆の……君の、気持ちが」
弁慶の為になにかしたい、との心持ちで奔走してくれた望美の優しさが、なによりも弁慶の心を癒した。
最期に、その記憶を抱きしめていきたいと思うほどに。
「…………平泉でも、熊野のことを思い出しました。――戦の、前に」
温かい記憶と連鎖して冷たい記憶も思い出された。
「……っ」
望美の息を呑む気配を察しながら、言葉を続ける。
冷たい記憶は、今はもう冷たいままではないのだと伝えたくて。
「雪が、冷たくて……。氷のことを思い出したんです」
目を閉じて、軽く息を吐く。
「――ぼうっとしていたから、どうしたのかと問い掛けられて……。でも、理由を話すことはできなかった。……違うな。……話したく、なかったんです。淡雪のような想い出だったから……」
淡く思い出すだけで充分だった。
他人に伝えたりしたら、掘り起こされた記憶が熱を増してしまう。
そうしたら――
「誰かに話したら、消えてしまいそうな気がして」
だから、弁慶だけの優しい記憶として、この身のうちに抱えていくつもりだった。
瞼の裏に浮かぶのは、平泉の雪景色。
思い浮かべただけで冷たさまで伝わってきそうな彼の地の風景は、熱を持ったこの身にはどこか心地よさすら感じる気がする。
記憶に浸っていると、強い力で手を握られた。
繋がれた手から相手の腕へと視線で辿る。二の腕、肩、首、顎。きゅっと結ばれた唇、僅かに膨らんだ鼻、潤んだ目。眉は頭が寄せられ、尻が下がっている。
「話したって、消えたりしません。私は、覚えてますから」
彼女の言葉を聞き、どこか張り詰めてしまっていた空気を壊すように安堵の息を零す。
「――ええ」
「何度だって話して――笑い話にしちゃいますから」
「そうですね。……今日のことも、笑い話になるかな」
力強い彼女の言葉に、脳裏から白は消え去って。
「なります」
なんだか気が抜けてしまって、また眠くなってきてしまった。
緩く瞬いた瞼に気づいたのか、彼女が「眠いんですか?」と問い掛けるのに小さな声で応を返して。
体の欲求に逆らわず、意識を闇に委ねる。
繋いだ手は、そのままに。
じんわり伝わる熱に、どんな薬よりもこのぬくもりが一番の良薬なのだと、唇に微笑みをはいて。
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更新履歴ブログ「冴雫」。たまに小話か萌え語りカテゴリでSSS投下。
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