下にまとめた、twitterでつぶやいていた萌え語りをネタにしたSSSです。
両方短いです。
折りたたみに収納。
両方短いです。
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雪かな文通
>八木沢って、夏が終わって仙台に帰ってから、メールだけじゃなくて手紙もくれそう。仙台の風景や学校の様子の報告や写真の。かなでと付き合ってても、付き合ってなくても。
>便箋妄想。八木沢は、季節の花とかが端に薄く、さりげなく描かれてる便箋を使いそう。あと、便箋じゃないけど、綺麗な風景のポストカードとか。「あなたにも見てほしくて」という言葉を添えて。切手も凝ってそう。
オケ部の練習を終え、自室に戻ってきたかなでは、机に置かれた封筒を見つけた。
横長のシンプルな白の封筒には、「小日向かなで様」と丁寧な筆跡で宛名が書かれている。
左上に貼られているのは、山並みの風景を切り取ったかのような切手。
裏返すと、左下には淡いタッチで落ち葉が描かれていた。
その反対側には「八木沢雪広」の文字。
予想通りの差し出し人に、かなでは思わず微笑みを零す。
急ぎながらも、手紙を破かないように注意をしながら封を切る。 中から出てきたのは、封筒と同じ柄の便箋。
そして、数枚の写真だった。
かなでは、まず便箋に目を通した。
そこに綴られているのは、八木沢の日常。
火積や新たちのこと。
家族のこと。
受験勉強のこと。
そして、かなでが送った手紙に書いた質問に対しての返答。
頷きながら手紙を読み終えようとしたかなでの目に、「P.S.」の文字が飛び込んでくる。
――――――――――
P.S.
一緒に贈った写真は、部活の様子と、仙台の高台から見た夕焼けです。
夕焼けがあまりに綺麗だったので、あなたにも見せたくて。
あなたに見せたい――いえ、あなたと一緒に見たい風景がたくさんあります。
いつか、一緒にこの光景を見ましょう。
――――――――――
写真を見ると、確かにとても綺麗な夕焼けが写っていた。
世界を優しく包む、温かな橙色。
かなでの地元とも、横浜とも違う色の夕焼けにかなでは思いを馳せる。
いつか――。
その日がそう遠くはないであろうことを感じながら、かなでは八木沢の名を呟いた。
至誠館浴衣
>新は、浴衣なのに気にしないで動き回って、乱れちゃって、八木沢が整えつつ注意してればいいと思う。言い訳しつつ手を振る新に、火積が「おとなしくしてろ」と言いつつげんこつ落としたり。
至誠館吹奏楽部総員で楽しんでいる秋祭。
秋、とは言っても9月始めでまだ暑さが残り、浴衣を身に纏っている人もかなりいる。
至誠館のメンバーも、その中に含まれていた。
八木沢はきっちりと着こなし、火積も様になっている。
狩野は動きやすさを重視したのか、甚平を身につけていた。
伊織と新は浴衣を着ている。
祭も中盤になると、よく動き回る新の浴衣は着崩れてしまった。
それを見咎めた八木沢は、人気のない場所に寄って新の浴衣を軽く直そうとする。
「ほら、水嶋。浴衣が乱れてしまっているよ。直すから、少しじっとしていてくれるかな」
手早く整える僅かな間もまどろっこしく感じるのか、新は背の高さを活かして周囲をきょろきょろと見回す。
「は~い。……あっ、あれなんだろ!」
目新しいものを発見したのか、大きく体を動かす。
すると、せっかく直した部分がまた乱れてしまった。
八木沢が注意するより早く、火積の拳が新の頭に落ちる。
ゴツン、と鈍く響いた音に、新は頭を抱えて涙目になる。
「Ouch! 火積先輩、ぶつなんてひどい!」
「おとなしくしてろ。部長に迷惑かけるんじゃねぇ」
火積の地を這うような声と鋭い視線にも臆することなく、新は唇を尖らせた。
「だからって、そんなに強くぶたなくてもいいじゃないですか~」
火積が言い返そうとしたところで、八木沢の声が割り入る。
「はい、終わったよ。水嶋、着慣れていないと浴衣は崩れやすいから、気をつけてね」
「は~い。ありがとうございます、部長」
「どういたしまして」
会話に加わっていなかった狩野と伊織は、いつの間にかめぼしい店を発見したようで、品物を手にこちらに向かってくる。
合流した5人は、再び喧騒の中へと身を投じた。
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更新履歴ブログ「冴雫」。たまに小話か萌え語りカテゴリでSSS投下。
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