調子に乗って本日二作目。
先程と同じく「笑言十題」から「おもむろに電子辞書を取り出して」で衛藤×香穂子です。
正確に言うと衛→日/衛←?日から衛×日かな。
そして、先程と同じく携帯投稿なままなので、折り畳んでいません。
折りたたみました。
諸々ご注意。
先程と同じく「笑言十題」から「おもむろに電子辞書を取り出して」で衛藤×香穂子です。
正確に言うと衛→日/衛←?日から衛×日かな。
諸々ご注意。
五月の連休明け。
放課後に音楽科屋上へと向かった衛藤は、一人ベンチに座る香穂子を見つけた。
声をかけ、隣に座った途端に投げかけられたのは、脈絡も突拍子もない言葉。
「ねぇ、衛藤くん。『Like』と『Love』の違いってなんだと思う?」
衛藤は驚きのあまり、口に含んだばかりのジュースで噎せてしまう。
「はぁ? なんだよ、突然」
からかっているのかと香穂子の顔を見るが、至って真剣な表情をしている。
答えを求める瞳から目を逸らし、衛藤は鞄を漁った。
目的の物を捜し当てると、香穂子の目の前に差し出す。
「……なに、これ?」
鼻先に付くほどの勢いで差し出された物に焦点が合わず、香穂子は問い掛けを発した。
近すぎることに気付いた衛藤は、それを自らの胸元に引き寄せると蓋を開いた。
「なにって、電子辞書。意味知りたいんなら辞書引けばいいだろ」
ほら、と言いながら香穂子の掌に電子辞書を載せる。
対する香穂子は、蓋をぱたりと閉めて首を傾げた。
「辞書はもう調べたよ」
「じゃあ、なんで俺に聞くわけ?」
「そのことについて考えてたら、ちょうど衛藤くんが来たから。アメリカに行ってた衛藤くんなら、『Like』と『Love』の微妙なラインも上手く説明してくれるかなって」
それを聞いた衛藤は、香穂子に見せつけるようにして長い息を吐き、眉間を押さえた。
「そんなもの、人に聞くことじゃないだろ。……だいたい、日本語にしたって『好き』と『愛』。そのラインなんて簡単に説明できるかよ」
「そう、だよね……」
俯いてしまった香穂子を見て、衛藤は問いを発した。
「それで?」
「え?」
主語のない問い掛けを受け、香穂子は上げた顔に疑問を浮かべる。
意図が伝わっていないことに気づいた衛藤は、改めて質問を投げ掛けた。
「なんで『Like』と『Love』の違いについて、なんて考えてるのか聞いてるんだよ」
ああ、と納得したように頷いた香穂子は、すぐに口ごもる。
ちらり、と衛藤の顔を窺ってから、空を見上げて言葉を零した
「私の、ある人に対する気持ちが『Like』なのか『Love』なのかよくわからなくて」
その言葉を聞いた衛藤の眉が、ぴくりと動く。
「ふーん。……違い、教えてやってもいいよ」
「えっ、さっき説明できないって……」
「今、思いついたんだよ。大きな声で言うことじゃないから、ちょっとこっち寄って」
香穂子は視線を地上に戻し、衛藤の言葉に従って、身を衛藤に寄せる。
衛藤は、背後から香穂子の肩に手を回すと、まろやかな頬――唇の真横に口づけた。
「こういうことしたくなるのが『Love』だよ。本当はこっちにしたいけど」
空いているほうの手で顎を捕らえ、親指でふっくらとした唇をなぞる。
「LikeだかLoveだか気持ちがわからないやつなんかより、俺のこと見ろよ」
香穂子は言葉を発せず、ただその頬だけが赤く染まった。
息をすっと吸いこむ動作が見えて、香穂子のことだから下手をしたらビンタがくるか、と身構えた衛藤に訪れたのは、優しい衝撃。
頬に、唇が触れたのだ。
「……最初から衛藤くんしか見てないよ」
目を丸くして固まってしまった衛藤に、香穂子は照れ臭そうに微笑みかける。
「答え、見つかったかも」
衛藤は、再び息を落とした。
「あんたって、本当……」
呆れから笑みに変わった顔が、再び香穂子に近づく。
何度目かのぼやけた視界を、香穂子は瞼を閉じて遮断した。
後書
ベタネタ?です。
最初は、全く別な吉日で考えていたんですが。
余力があったらそちらも書ききってみたい、かも。
ちなみに、私の中では2fED後想定。
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更新履歴ブログ「冴雫」。たまに小話か萌え語りカテゴリでSSS投下。
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