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冴雫
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今回は景時さんの新年追加イベント+SSS。

今度のSSSは、ちゃんと景時さんのお話です。

ちなみに、何故SSSを分けないのかと言いますと。
・追加イベントをネタとして考えたから
・勢いで書いた
・サイトに収納するつもりなし
・書き逃げするつもり
といった理由から。


それでは、ネタバレOK!な方は追記へどうぞ。


ここから少し、迷宮とか関係ない話になるんですが。
私、「冴ゆる雫」でのHNを変更しようと思っています。
今までは「小枝(さえだ)」でしたが、「柴昏(しぐれ)」にしようかと。
私がよく使っているHNに「時雨」というのが入っているので、音を共通にしてみました。
次の作品更新の時に、あちこち修正入れます。
 







 「福袋を開いて」 新たな年に

現代の戦場ーーバーゲンで、高級スーツの福袋を狙い、見事ゲットする望美。
景時も、無事に目当てのものを購入。

有川邸に戻った二人は、和室でたくさん購入した福袋を片っ端から開ける。
望美の買った福袋にはミトンや、今着ているワンピースにも似合いそうなコートなどが入っていた。

それを見た景時は、せっかくだから買ったものを着て出かけよう、と提案する。
頷いた望美は、景時はこちらの服を着て、とスーツの福袋を差し出す。
景時は「こちらの世界の洋服」という単語に陰った表情を見せるが、すぐに取り繕い、隣の部屋で着替えてくると和室を出てしまう。

なかなか戻ってこない景時だったが、それはネクタイの締め方がわからなかった為。
それを知った望美が景時のネクタイを結びながら「似合う」と言うのを聴き、景時は幸せを感じる。
しかし、付き纏うのは「こんな幸せがいつまで続くのか」という思い。

景時のその呟きこそ耳に届かなかったが、望美は「景時といると幸せ」だと告げる。
それを聞いた景時は、「君がくれたこの服で、君の世界をめいっぱい楽しみたい」「…オレとデート、してくれる?」と誘いをかけた。


景時さん、「こっちの世界の服」に反応しすぎじゃない?今着てるのもこの世界の服でしょ?とかうっかり思ってしまったんですが…。
もう荼吉尼天を倒して、あと数日で京に戻ってしまうかもしれないのに、望美がわざわざ新しい服を景時の為に買ったことに戸惑ったんでしょうね。

あれ、でも、景時さん何のかはわからないけど自分も福袋ちゃっかりゲットしてるんですよね。
モブが話してた家電福袋かなぁ…。
それなら、数日でも原理調べる為の分解とか出来るだろうし、あとは有川家と春日家で分けて使えそうだし。


それにしても、男性のネクタイを締める女性の図っていいですね…!

一度はやりたいネタです。
私、ネクタイの結び方ほとんどわかんないけど。
簡単なのが一つわかるだけです。逆さからなんて無理。
でも、SSS投下しちゃいます。

景時さんが迷宮後に現代に残ったら、という妄想。

 

 

 景時が望美の世界で暮らすようになって数年。
 高校二年生だった望美は高校を卒業し、大学も折り返しに入っていた。
 景時は仕事を見つけて有川家から出て、すっかりこちらの世界に馴染んだ生活を送っている。

 共に過ごす、何度目かの正月。
 すっかり二人の間で恒例となったバーゲンに繰り出し、互いに目的の福袋を購入して、景時の家で中身を広げていた。

 景時が購入したのは、家電製品が詰まった福袋。
 数年経っても、景時の現代の機械に関する興味は薄れることなく、瞳を輝かせて中身をチェックしていた。
 手元に道具があれば、今すぐにでも分解をしてしまいそうである。

 一方、望美は服の福袋ばかり購入していた。
 真っ先に駆け付けたお気に入りの店の福袋は、頑張った甲斐があって好みのデザインのものが入っていたようだ。
 顔を綻ばせていた望美は、続けてほかの福袋に手をかける。
 そこから出てきたのは、男性用のスーツだった。

「景時さん、見てください。このスーツ素敵ですよ」

 スーツを広げながら、景時に話し掛ける。
 そのスーツが入っていた福袋のブランド名は、数年前に望美が景時の為に買ったものと同じ。

「わっ、格好いいね。前に望美ちゃんが買っていたのと同じところでしょ?」
「はい。久しぶりにいいかなって」
「うわ~、ありがとう。嬉しいよ。じゃあ、オレからはこれ。はい」

 代わりに、とのように景時が差し出したのは女性もののコート。
 こちらも数年前を彷彿とさせる。

 どちらからともなく、その服を着ようと言い出して。
 景時が着替えるためにスーツ一式を持って他の部屋に行こうとすると、望美はその中からネクタイを取り上げた。

「これは、私が後でやります」

 満面の笑みを見せる望美に、やりたいというならばお願いしよう、と考えた景時は彼女にネクタイを預けたまま部屋を出て行った。

 あとはネクタイを締めるだけ、というところまで身支度を整えて、景時は先ほどの部屋まで戻ってきた。
 望美はとうにコートを身に纏い、ネクタイを手に景時を待っていた。

「お待たせ~」
「あ、景時さん。……やっぱり、格好いいです」

 顔を紅潮させる望美に、景時は頬をかいた。

「望美ちゃんにそう言ってもらえると嬉しいな。ネクタイ、お願いできるかな?」
「はい」

 望美は、軽くつま先立ちをして景時の首にネクタイをかける。
 景時は頭一つ分と少し低い位置にある、小さな頭の旋風を見下ろしながら、数年前のことに想いを馳せた。

 あの時は、未来でこんな風に彼女と過ごすことなんて考えもしなかった。
 あと数日で京に帰るのだと思っていたから。

 今では望美と共にあるのが自然なことで、それ以外の道を選んでいた自分が想像できなくなってしまった。
 それでも、欲は尽きない。
 もっと一緒に居られたらいいのに。

 そんな想いが、ぽろりと口から零れ出た。

「毎朝、こうやって望美ちゃんにネクタイを結んで貰えたらいいなぁ」

 きゅ、とネクタイを締め終え、確認をするように景時の顔を見上げた望美は、その言葉に瞠目した。

「……え」

 その表情に、まるでプロポーズの言葉のようだと気づいた景時は、慌てて言葉を続ける。
 ずっと一緒にいたい、結婚したい、という気持ちは嘘ではないが、彼女が学生のうちは口にするまいと思っていたのだ。

「のっ、望美ちゃんがネクタイ結ぶの上手いから、つい、ね」

 しかし、望美は景時のその言葉には反応を見せない。
 まるで時間が止まったかのような沈黙の後、ふっくらとした唇がそっと開かれた。

「……いいですよ、毎朝ネクタイ結んであげても」

 返ってきた言葉は、景時の左の耳から入っていって右の耳を抜けていった。
 驚きのあまりに脳内に入らなかったその言葉だが、どこからか反響するように、脳内にじわじわと染み込んでくる。

「え……ええっ? 望美ちゃん、それって……」

 問いを投げかけようとした景時の言葉を遮るように、望美はネクタイをぐいと引っ張った。
 突然の出来事に、たたらを踏んでつんのめった景時の唇に温かいものが触れる。
 驚きに背筋を伸ばした景時がその勢いで姿勢を正した時には、望美は身を離していた。

「私、先に外に出てますね」

 そういい置いて、望美はパタパタと廊下を駆けて行ってしまう。

 残された景時は崩れてしまった胸元を直すこともせず、望美の言葉だけが響く頭を抱えて呆然としていた。










ネクタイ締めて「毎朝・・・」っていうのと、ネクタイ引っ張ってキス、をやってみたくなったので書きました。
最初は、夫婦設定にしようと思ってたんですが「毎朝・・・」っていうのでプロポーズめいた言葉を言わせたくなったので、未婚。
書きたい場面を繋げただけになってる気もしますが・・・まぁ、それがこの萌え語りカテゴリのSSSです。
 

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