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冴雫
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はい、2です。
今度はお正月イベント!

そして今回もSSSがあります。
が、弁慶さんバッドED後の弁慶さんサイド、捏造しまくりなので、ご注意ください。
下にも一応注意書いていますが。

ところで、忍者ブログだと「―」(ダッシュ)が上部に表示されてしまうので困っています。
なので、他の真ん中に線が来るやつで代用。「-」とか「ー」とか。
「…」も携帯電話から見ると入力記号(?)に変換されてしまうので、普段は「・・・」と個別に打ってますし。
地味な不便具合です。







「初詣」 新たな年に

昨年交わした約束を果たす為、元旦に鶴岡八幡宮を訪れた二人。
こんなに混雑している時に来たがるとは意外だ、という望美に、弁慶は望美の世界の習慣に興味を持ったから、と答える。

望美が、神様に特別な願いごとがあるのかと思ったと言うと、弁慶は望美の時間を独占できているから、既に願いは叶っていると言い、以前プレゼントしたブレスレットを望美が身につけていることを喜ぶ。

参拝を終えた二人は、牡丹が咲いているのを見つける。
季節違いの牡丹に、何かの怪異かと警戒する弁慶に、望美は暖かくした覆いの中で育てているのだと告げる。
怪異ではなくて、新年になる舞えに荼吉尼天を倒すことができてよかったと安堵する弁慶。

もしかして、荼吉尼天の影響が残っていないかを確かめることが今日の目的だったのかと尋ねる望美。
弁慶はその言葉を半分だけ肯定する。
自分にも個人的な願いはある、と。
それは、望美が笑っていること。目の前に咲いている、牡丹の花よりも可憐に優しく。

今日は望美と出掛けることができ、素敵な思い出を作ることが出来たと微笑む弁慶。
その言葉に、望美はこれが弁慶との最後の思い出になってしまうかもしれないのだと顔を曇らせる。
しかし明るくしなければ、と笑顔を作った望美は、一人先に駆け出す。
そんな望美を見つめる弁慶は、「もう少しだけ、待っていてください」と意味深な言葉を落とした。
この願いは、神や他人の手ではなく、自分の手で叶えたいから、と。


初詣!
弁慶さんバッドEDを見た後だと、共に新年を迎えることが出来たことに、本当によかったね!とじ~んときます。

ところで、初詣の列の中で甘い言葉をすらすらと並び立てる弁慶さん…。
周りの人は気にしないんでしょうか。
行列って、前後の人の会話がどうしても耳に入りますよね。


それにしても、弁慶さんはいつも気を張ってますよね。
軍師の性?


「願いは自分の手で叶えたい」という台詞は、これまた弁慶さんバッドEDを思い出すと切なく…。
そういえば、遙か3本編通常ルート1週目でも同じような行動取ってましたよね、この人…!
願いを叶える過程では、他人の力を借りることをしてもいいと思いますよ…!


これは「聖夜の後で」から続いている話ですが、さらに「後日談」に続いています。
いえ、他キャラも同じく続いているんですが、それがブレスレットというアイテムによってさらに明確になっているというか。

 

さて、そんな弁慶さんEDを迎えた後のイベントですが。
弁慶さんバッドED後の話が浮かんだので、またもやSSS投下。昨日のから続いてる、かも。

捏造甚だしいのでご注意。
かと言って、ハッピーエンドでもありませんよ~(多分)。

 

 

 

「ーーここは……」

 崩れ去る迷宮と共に、弁慶も消えるはずだった。
 何故意識があるのか、と考えながらいつもの癖で額に手を当てる。
 そこで弁慶は、透けてしまってはいるが自らの体が形を保っていることに気付いた。

「僕は、消えたはずではーー」

 無意識のうちに呟いた言葉に、応えがあった。

「いずれはそうなろう」

 まさか自分以外の声が聞こえるとは思っていなかった弁慶は、驚きに目を瞠りながら振り向いた。
 どこか、聞き覚えのある声。

「そなたは、自らと引き換えにあの娘を助けたのだな」

 弁慶の視線の先には、癖のある赤毛の青年が穏やかに微笑んでいた。
 その特徴は、望美が以前話していたものだ。
 そして、壮年しか知らない人物の若かりし頃を連想させるような容姿。

「あなたが、望美さんに心のかけらを渡したんですか?」
「そうだ。あの娘の心は、温かくて心地好かった。ーー弁慶、そなたを想う気持ちで満たされていた」

 和議前夜に話をした時と同じ声音で名を呼ばれる。

「ーーあなたは、清盛殿ですね」
「ああ」

 頷いた青年に、弁慶は目を伏せた。

「あなたとの約束も、守ることができませんでしたね。僕は、二位の尼君や安徳天皇を置いてこちらの世界に来てしまった」
「いや。荼吉尼天を消し去ったことで、憂いの一つは晴らされた。あとは、我が息子達がどうにかするだろう」
「そう、ですね。平家は滅びたわけではないのだから」

 和議を結ぶ為に行動した望美に聞かされた、彼女が辿った運命。
 そこでは、知盛は海に身を投げ、惟盛や清盛、経正は封印され、重衡は呪詛をかけられて記憶を失っていたという。
 望美がなんとかこぎつけた和議は途中で予想もしなかった事態に巻き込まれてしまったが、生きている彼らならばきっと大事なものを守り抜くだろう。

 大事なもの、と考えたところで弁慶の胸がつきりと痛んだ。
 弁慶は、大切なものーー望美を、仲間を、守るためにこの道を選んだのだ。
 そのことに後悔などしていないけれど、彼女との約束を守ることが出来なかったことは胸に重いものをのしかからせる。
 共に過ごす約束の証として贈ったブレスレットが、彼女の負担になってしまっているのではないかと。

 手首に視線をやった弁慶は、宝玉が熱を持っているのに気づいた。
 そっと触れると、望美の慟哭が伝わってくる。

「君を、泣かせたくはなかったんですけれどね。笑っていて欲しかっただけなのに……」

 その願いが傲慢だと、自己満足なのだと知っていても。

 未練を断ち切るように頭を振った弁慶は、清盛に視線を向けた。

「あなたは、これからどうするんですか?」
「どうもせぬよ。時子や帝は、先ほど言ったように皆が守ってくれるであろう。我は、ここで消えゆくのを待つのみ」

 弁慶はその答えに微笑んだ。
 望美のことも、きっと仲間が守ってくれる。

「では、それまで僕もお付き合いしましょう。囲碁が打てぬのは残念ですが……」
「そうじゃな、そなたともう一度囲碁を打ってみたかったものだ」

 会話を交わす二人の輪郭は少しずつ薄れて、何もない空間に溶け込んでゆく。
 それでも、二人の笑みが消えることはなかった。

 最後には優しい微笑みの気配だけが残され、それすらもやがて無へと飲み込まれていった。

 

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