早速滞りつつある萌え語り。
今回は「1」がつきました。
まぁ、自己満足の萌え語りなので、気ままにやっていきます。
今回は、「聖夜の後で」のみ。
おまけでSSSが付いてます。
思いっきりネタバレあり。
「君との時間」 聖夜の後で
クリスマスイブに弁慶に貰ったブーケのお返しを考えている望美。
朔に相談するとか、贈り物を考える時間が幸せだとか、恋する乙女してます。
珍しい薬草や眼鏡といった案が出るが、なかなか決まらず…。
望美は、弁慶に会いに行けば何か思い付くかも、と有川邸を訪ねる。
好みを知る為に弁慶を観察する望美だが、その視線を気にした弁慶に理由を尋ねられる。
それにお返しをしたくてと答えた望美に、弁慶はやはり欲しいものはすぐには思いつかないと言う。
それを聞いた望美は、弁慶を街に連れ出して、何か気になるものを見つけさせようとする。
しかし、気になるものを見つけたのは弁慶でなく望美。
店頭に飾られたブレスレットを気にしている望美を見て、弁慶はその店へと入る。
そして、望美の腕にブレスレットをつける。
自分ばかりが楽しんでいる、と謝る望美に、弁慶は「こうして君とふたりきりでいる時間が、僕にとってはなによりのお返し」だと応える。
続けて「お返しのお返しをしなくては」と言うと、望美が見ていたブレスレットをプレゼントしてしまう。
店を出て、お返しをちゃんとしたい、と零す望美に、弁慶は「それをつけた君と過ごす時間が欲しい」と言って元旦の約束を取り付ける。
頷く望美を見て、弁慶は無事に新年を迎えることが出来るよう、力を尽くすとの決意を新たにする。
なんか、さらっと約束を取り付けるのがさすがという感じがします。
それにしても迷宮の望美って、3本編や十六夜記に比べて、普通の女の子っぽい面が目立ちますよね。
これが下地にあると考えると、弁慶さんバッドEDがより切なくなってきますね…!
とか考えていたらSSSが書きたくなったので、投下。
夢の中で弁慶の声を聞いた望美は、はっと目を覚ました。
嫌な予感に急いで身支度を整えて仲間を探すも、誰一人として姿が見当たらない。
そのことに、自分が迷宮に足を踏み入れることは望まれていないのだと分かっても、一人自分の部屋で待つことなどできない。
皆の元へ行かなくてはと、望美は急いで自室を後にしようとした。
ドアに向かう直前に目に留まったのは、机の上に置いてあったブレスレット。
クリスマスの後に弁慶にプレゼントされたものだ。
一緒に元旦を過ごすと約束した証。
望美は衝動的にそのブレスレットを掴むと、扉へと続く鎌倉の道を必死に走った。
その甲斐あってか、どうにか鶴岡八幡宮で弁慶達に追い付く。
そこで弁慶は、迷宮へ向かうのは荼吉尼天と戦うためではないこと。迷宮に巣くう怨霊を消し去り、龍脈の流れを正すためであること。そうすれば、力を取り戻した龍神の加護を受けた望美に、弱っている荼吉尼天が取り付くことはできない、と考えていることを明かす。
その考えの上で、いつ荼吉尼天に乗っ取られるかわからない望美を連れていくのは危険があるのだ、と望美を説得した。
僕たちを信じて待っていてくれ、と言う弁慶を信じ、望美は一人扉の前で弁慶達が帰って来るのを待っていた。
未来を約した証であるブレスレットをしっかりと握りしめて。
不安で揺れる胸を、共に元旦を過ごす約束をしたのだから必ず帰って来ると信じ、祈って。
だが、しばらくして戻ってきた皆の中に弁慶の姿はなかった。
望美の掌から、華奢なブレスレットが滑り落ちて地面に衝突する。
九郎達によると、弁慶は穢れが消え、存在する意味を失ったことにより崩れ落ちる迷宮の中で、怨霊を封じる結界を維持するために一人残ったのだと言う。
逃げ道はちゃんと見つけてあるから、と。
しかし、迷宮は弁慶を現世に帰すことなくして消えた。
弁慶を探そうにも、迷宮への扉は僅かな痕跡も残さずに消え去ってしまった。
彼はきっと、最初から自らが迷宮と共に消える覚悟だったのだろうと、今更になって望美は気付いた。
いつだって、優しい嘘をついて自分が一番深い傷を負っている人。
その傷だって、いつもの優しい笑みで覆い隠してしまう人。
自分を犠牲にして、大切なものを守ろうとする人。
そんなことは、望美は知っていたはずなのだ。
地面に落ちて、傷ついてしまったブレスレット。
望美はそれを拾おうとして屈んで、しかし立ち上がることはできなかった。
ぽつり、と雨も降っていないのに乾いた石畳に雫が落ちる。
望美の頬を伝って落ちる雫は、ブレスレットを掴んだまま止まってしまった望美の手の甲にも跡を残した。
右手の甲に留まった雫は、弁慶の宝玉の位置と同じ。
ぽろぽろと止まることのない涙を拭おうともせずに、望美はうずくまった。
きっと、このブレスレットを買った時には、弁慶もまだこんな結末は考えていなかったのだろう。
迷宮の真実を知って、望美を、望美の未来を守るために、そして仲間の未来を守るために、自分の未来を捨ててしまったのだ。
それを悟ってしまった望美は、「どうして」などと言うことはできない。
だから、ただ弁慶の名を呼び続けることしかできなかった。
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